2018年11月、角川文化振興財団から刊行された角谷昌子の評論集。未来図叢書第210篇。
「第Ⅰ部」に収録した十二名の作家論は、角川書店「俳句」に、平成二十五年の一年間連載された。その中の「インタビュー」は、私が講師を務めた調布市市民講座に、ゲストとしてお招きした方々に直接うかがった内容などからの論考である。
「第Ⅱ部」は、平成二十六年から三年間に亘って「未来図」誌上に連載された作家論である。第Ⅰ部、第Ⅱ部とも、大分訂正を加えたが、順番は掲載のまま、流れを変えずに収録した。資料については、ゲストの方々はもちろん、荏原京子、大井恒行、柿本多映、川崎美喜子、久保純夫、越村藏、攝津資子、中村和弘、福田葉子、吉野洋子各氏ほか、多くのみなさまに大変お世話になった。
膨大な数におよぶ参考資料は、取り上げた俳人の句集など、ほとんどの自著は省いて巻末に掲載し、引用文献は、なるべく本文中に記した。
(「あとがき」より)
目次
まえがき――俳句の力
Ⅰ 時代を展いた俳人たち
- 飯島晴子 言語芸術としての俳句を求めて
- 野澤節子 俳句を一筋の光として
- 川崎展宏 現代に息づく古典と俳味
- 藤田湘子 一日十句の荒行を超えて
- 佐藤鬼房 生涯を貫く「愚直」精神
- 上田五千石 「眼前直覚」への道程
- 永田耕衣 俳句という「精神遍歴」
- 能村登四郎 心象世界を拓く
- 桂信子 身体感覚からの飛翔
- 三橋敏雄 アナクロニズムを経た言語造型
- 森澄雄 虚実皮膜の間の遊び
- 飯田龍太 生命を慈しむ俳句
Ⅱ 時代を映した俳人たち
- 草間時彦 人生即俳句
- 中村苑子 「メメント・モリ」からの出発
- 橋閒石 魂の衝動としての創作
- 田川飛旅子 不可視の世界を描く
- 細見綾子 天然自然の柔軟性
- 八田木枯 俳諧の秘したる花
- 津田清子 生命の根源を求めて
- 古沢太穂 信念を貫く境涯と作品
- 村越化石 心眼心耳の世界へ
- 鈴木真砂女 背骨を貫く荒海
- 鈴木六林男 作品こそ表現・精神史
- 攝津幸彦 俳句で探る存在の根源
- 田中裕明 この世に招かれた客人
- 金子兜太 「存在者」の透徹
あとがき
参考文献