鹿々集 攝津幸彦句集

 1996年4月、ふらんす堂から刊行された攝津幸彦(1947~1996)の第7句集。装幀はスタジオギブ(川島進)、撮影はFranck Robichon。付録栞は岡井隆。21世紀俳人シリーズ7。著者は兵庫県生まれ、刊行時の住所は大宮市三橋。

 

 第六句集『陸々集』以後に書いた作品、約七百五十句の中から三百八十八句を選び、第七句集『鹿々集』とした。
 作品の配列は制作年次に順っていない。そして、初出時の作品に部分的に改作を施したものも少なからずある。
 さて、この句集は、前句集と同じく、ロクロクシュウ、と読むのだが、とりたてて深い意味があるわけではない。多く「萬古集」又は「鹿々集」と題して発表した作品であるが、結局は、『鹿々集』一本とした。
 永遠を密かに希求するよりは、平々凡々と、人よりやや遅れ気味に歩いている光景が、私には相応しいと思われたからである。
 「陸々」も「鹿々」も語意は、ほぼ同じ。どちらも平凡なさまを表わす。
 やがて巷で、「ヘロクロクシュウ〉を読んだかい。「〈陸>の方かね、それとも<鹿>の方?」という会話が成されれば占めたものであるのだが。
 それはそれとして、『陸々集』以降のこの四年半余りの間、僕にとっては、今までになく、楽しく俳句を書き続けられたように思われる。そのことで、俳句形式に、より接近することが出来たのか、或いは後退してしまったのかは、読者諸兄に判断を任せるとして、とりわけ記憶に残る楽しい思い出は、一九九四年一月、風花や粉雪舞う奥多摩は御岳渓谷、「河鹿荘」に於ける小林恭二氏司会進行による句座である。三橋敏雄、藤田湘子、有馬朗人、大木あまり、小澤實、岸本尚毅の諸氏に、歌人岡井隆氏を交えての一昼夜に亘る句会を緊張しつつも大いに楽しませて頂いた。
 この句会録は、翌年の二月、岩波新書の一巻として、小林恭二氏の手により「俳句という愉しみ」と題され出版された。現在も好評裡に版を重ねていると聞く。その折の句も六句ばかり、この句集に入れてある。上梓に際しては、多くの人々にお世話になった。深く感謝の意を表する次第である。
(「あとがき」より)

 

 

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