1970年12月、思潮社から刊行された小長谷清実(1936~)の第1詩集。制作は堀川正美(1931~)と大野健一。
目次
- 海のような春 ―黙っている共通の屋根を
- 六月の海と花々 ―きみが愛した六月の海を
- 詩 ―英雄たちの栄光は塹壕にたまる泥水のうえに
- 過程 ―暴君たちもオトナしくなり
- 黙示録 ―五百羅漢がずらりと並び
- 花ある青春 ―クレヴアスと呼ばれるちいさな場所に
- 過ぎた夏 ―わたしの腕が抱きよせるものは何だろうか
- 言葉のはかなさ ―やがて産まれるだろり過ぎた夏を
- 希望の始まり ―わたしたちの時代のオーロラが裂け
- あなたのいる都市 ―夕ぐれ わたしはあまりに見てきたから言うのだけれど
- 燃えるオーロラのブルース ―いくつもいくつもオーロラが燃えたち
- やさしい手紙 ―いまわたしは横になって
- 庭の雑草 ―たわめられた梢の先から
- わたしたち ―わたしたちという言葉を
- 美しい五月 ―五月の細い兩がぬらしている広場にむけて
- 庭の小動物 ―きょうわたしは
- 吟遊詩人 ―あなたの額 あなたの瞼には
- あぅ ―窓から窓がみえる
- 陳述 ―はげしい真夏はゆりかごのなかで
- 庭 ―ネズミいろの空でゆらゆらと
- 八月の都市 I ―くだけた鏡のようにわたしたちの
- 八月の都市 Ⅱ ―やさしさをしたがえ
- 八月の都市 Ⅲ ―酔っぱらって
- 八月の都市 Ⅳ ―ざわめく水のいらだちのなかから
- 顔 ―ねずみ色の空に
- 飢えた虫 ―二歳の娘と、木を見にでかける
- 体験と欲情 ―ここは決して海なんかではない
- コクゾウムシ一匹… ―赤くただれた顔の皮に