1974年7月、思潮社から刊行された北川透(1935~)の第3詩集。
これは『眼の韻律』『闇のアラベスク』につぐわたしの第三番目の詩集である。主として一九七二年と一九七三年を中心にその前後に書いたものを含んだ二四篇が収められている。その中の幾篇かは詩作品として読まれないかも知れぬ、と思っている。わたしとしては自分のモティーフを展開するに、もっともふさわしい表現を見出せたかどうかに、自己検証の基準があるので、現在の詩的常識や規範的な詩概念に照らして、〈非〉詩作品として読まれること自体に不満はない。しかし、それにもかかわらず、わたしはそれらをも詩作品として、そして、この全体を詩集として提出したいのだ。(「あとがき」より)
目次
- 藁の男
- 瞳の受苦
- 砂嵐
- Kの死
- 二人の男
- 河に関する断片
- 反河のはじまり
- 六月の法廷
- 石柱のうた
- テーブルのうた
- 棺の中で
- 蛇穴にて
- 河口を引く
- 孤島夢
- 歩行のうた
- 無間亀裂
- 声鳥反河
- 叫び
- 奇形の魚
- その河……
- 溶ける男
- 眼球湖に沈む……
- 幻響
- 河の遡行
あとがき