2006年10月、砂子屋書房から刊行された立木早(1950~)の第4詩集。表紙絵は長谷川紀子、装本は倉本修。立木は八木幹夫の弟で下村康臣の友人。
ある7月の蒸した夜、人が3人私の手料理を食べにきた。約束をしてしまったのは自分だが、料理の一つも知らずに半世紀、私のなかで何かが破裂した。作ってみよう、どんな料理ができるのか、味と腹の保証はしないがとにかく作ってみようと思い至った。本屋で「10分でできる料理」という本とNHKの定番料理本を買ってきた。それからホームセンターに行ってメーター680円の布を2メートル購入した。かたちから整える、そんな自分が鼻についたがテーブルクロスが必定と思い至った。それから約束の時間まで格闘が延々と続いた訳だ。
できあがった料理を3人は見事なまでにたいらげてくれた。出す料理、見る間にからになっていく皿の美しさを、私はなんとか言葉にしたくなった。
料理が勢いであるようにこれらのことばも勢いで書ききった。満腹感が味わえるかどうか、もう少し塩加減がほしいと言われてもあとの祭、せめて腹をこわさなければと、願うばかりだ。
(「あとがき」より)
目次
- ガーデニング
- 料理
- 風呂場
- 洗濯
- 冷藏庫
- 会話
- 糠味噌1
- 猫
- 商売
- 踊る家
- 女の服
- ゴミを出す
- 糠味噌2
- 家のうちそと 松明花
- 書籍
- 押入
- 家のうちそと 盆花
- 玄関
- ウチニ、カエロウ
あとがき