2018年10月、詩遊社から刊行された美津島チタル(1988~)の詩集。装幀は高橋善丸。詩遊叢書29。著者は大阪府生まれ。刊行時の住所は大阪市此花区。
小さい頃、保育所で地面からキラキラ光る物があることに気づいた。私は砂をさらって宝石がある、と喜んだ。先生は「ガラスの欠片じゃない」と言ったが私にとって綺麗だったらガラスでも良かった。私にとって、詩を書く動機はそれに似ている。ありふれたガラスのような生活もキラキラさせることが出来る。現実の向こう側に魔法のような詩の世界がある。
この詩集「そば尼僧」転じて「側にそう」ように詩は私の側に根気強くいてくれた。それくらい詩とは魅力的な世界であるのだ。しかし、現代詩は岸にたどりつき放置されたボトルメールのような物かもしれない。もう、その瓶すら割れてメッセージを受け取る人もいないかもしれない。だけど、私が砂から小さなガラス片を見つけたように、一篇の詩を拾ってくれる人がまだまだいるかもしれない。私はそう信じてこの詩集をあなたに送る。
(「後記」より)
目次
- 木になる夢
- かぶら
- ふくろう夫人
- 嘘をつく舌
- そば尼僧
- ろくろ首との遭遇
- 天気雨の子
- 人魚のお嬢さん
- 飼育室
- 私は誰
- 沈黙はウシ
- 苺の追憶
- ミトコンドリア行進
- 夢のリアル
- しょくぶつ
- 私の空
- ショーウィンドウのカップル
- 凍える夜に
- 独りへの旅立ち
- あまい収穫
- 野菜たちの反抗
- 夏に実る
- 優しい駿馬
- 切手の秘密
- 金魚の破裂
- 宵宮の雨
- 納棺師
- エンドレスエンド
- お買い上げ
- あゝ亜熱帯
- 危険な運転
後記