1989年8月、思潮社から刊行された粕谷栄市の第3詩集。装幀は間村俊一、装画は作場知生。第27回藤村記念歴程賞受賞作品。
詩集『悪霊』は、『世界の構造』(一九七一年)「副身」(一九七六年、現代詩文庫)に次ぐ、私の三番目の詩集である。独立して刊行されることのなかった「副身」から、十三年ぶりのものとなった。
『悪霊』の作品四十四篇は、中断のあと、作品を書きはじめた、一九八七年から一九八九年のものである。
詩が、人間が、よく生きるための何かであるという、私の錯覚は、強固になった。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 冷血
- 妖怪
- 猿を殺して生きる者への忠告
- 感傷旅行
- 霊界通信
- チャーリー・コルデン氏抄
- 悪霊 亡霊
- 辞世
- 復活
- 奇術
- 梯子あるいは人生について
- 楽園へ
- 「症例ジョン」
- 献花
- 霊狐
- 卵卜私
- 撲殺
- 橋上の人
- 喜劇
- 肉体
- 模造
- 悦びについて
- 福音
- 寒夜
- 敬礼
- 春鶯囀
- 剃髮
- 落魄
- 悲歌
Ⅱ
- 望鄉
- 繫船
- 植物記
- 幻術あるいは蒸発
- 燻製にしん
- 古い絵
- 猿の日
- 七月
- 死んだ男を生き返らせる方法
- 天路歴程
- 五月
- 老人頌
- 絶叫
- セーデルマイヤーの世界
- 岬にて
あとがき