1975年8月、野火の会から刊行された大石規子(1935~)の第1詩集。著者は横浜市中区本牧和田生まれ。刊行時の住所は横浜市南区。
高田敏子先生の「野火の会」に入れていただいてからもう七年、ここに愛着のある詩、思い出のある詩など三十篇を集めてはじめての詩集を編むことになりました。
私と詩とのつながりは中学校一年生の時からですが、その間さまざまな人たちとの出会いによって、私も私の詩もはぐくまれてきたことを思います。
こうして詩集を編む時も、高田先生はもちろんのこと、たくさんの人のお世話を受けました。「野火」にかかわる安西均先生や伊藤桂一先生、鈴木亨先生や友人たち、赤間編集長はじめ編集部のみなさま、装幀をみてくれたグラフィック・デザイナーのいとこ、扉の絵をかいてくれた弟、この絵は遠いローマから「お姉さんはこの大きな木、葉は世界をみつめる目となり、影は詩を作る人の心にやすらぎをあたえるように」というメッセージつきで航空便で送られてきました。そしていつもわたしに心の自由をあたえてくれている家族夫と高二・中三のこどもたち。
残念なのは手ばなしでよろこんでくれるはずの父母がすでにいないことです。動物も植物も心に触れるものすべてすきですが、なによりも人間がすき、そしておしゃべりがすき、口ででなく文字でのおしゃべりがすき、これからも人間のよろこびやかなしみをかいていきます。
みなさま、どうもありがとうございました。
(「あとがき」より)
目次
序 高田敏子
- 一丁目一番地の女のおしゃべり
- わたし
- 不思議なわたし
- 妻のため息
- 食卓に頬杖ついて
- 紅茶と音楽
- 街の夕日
- 満員電車・さみしい電車
- クラス会
- 虫愛づる姫君:
- 女
- 蝶雨のあと
- ある日
- SEE-SAW
- 埋められた川
- 厨の流し
- 萩の寺
- 元町
- 叱られたボク
- 早春
- プランクトンの子守唄
- 娘とレモン
- 老人
- 消えたふるさと
- 腐った玉葱
- 手
- 母
- 桜の季節
- 亡父の写真
- 盆祭り
あとがき