1972年2月、山梨シルクセンター出版部から刊行された会田千衣子(1940~)の第4詩集。解説は大岡信(1931~2017)。
これらの詩篇は前詩集「氷の花」以後の、一九六八年から七一年にかけて最近三年ぐらいのあいだに書きました。
私は今まで短かい散文詩形式の詩を書いていて、このような行分け形式の詩は十代の頃に書いていただけなので、およそ十年近くぶりのことです。
私にとっていままでの三冊の散文詩集というのがある種の沈黙、したがって意志的な倫理を表わすのに適していたのに対し、このようにふたたび感性をおもむくままにしたおしゃべりな言語を回復してきたのは、大変嬉しいと思います。(「あとがき」より)
目次
- 苦悩の庭
- 魂の封鎖
- ふたつの死
- 幻想のように
- 幻の庭
- 狂気の庭
- 死の庭
- 神々
- 物語
- 歌謡曲
- 死・羅針
- 謎
- 殺人法
- よみ人知らず
- うつろな魂
- 冬
- 嘆き
- 春の海の……
- 永遠の分裂
- 殉教の庭
- 氷の幼年
- 不能の感覚
- 不能の森
- 言葉について
- 沈黙のために
- 狭き門
- 尼のつぶやき
- 狂女
- 夕顔
- 浅芽が原
- 幻の心
- 約束の地
- 困難な季節
- 言葉
- 原理
- 愛と死について
- 死の家
- 不安な時間
- 王者の心
- 幽閉
- 満ちたりた思い
- 閉ざされた庭
- 返礼
会田千衣子の詩=大岡信
あとがき