ハンセン病文学

栗生楽泉園の詩人たち その詩と生活 久保田穣

2007年6月、私家版として刊行された久保田穣(1934~2014)によるハンセン病詩論集。編集はノイエス朝日企画編集部。第9回小野十三郎賞特別賞受賞作品。 目次 海抜三千尺―陸の中の離島―栗生楽泉園 加藤三郎詩集『僕らの村』 ユーモアと向日的な明るさ 小林弘…

傷める葦 邑楽愼一

1940年3月、山雅房から刊行された邑楽愼一によるハンセン病診療手記。 目次 1 レプロローグの手帖 A ちづ女 B 夜風 C 輸血 D 愛憎 E 浮浪癩者 F 縣君 2 逃亡者 3 収容病棟物語 4 黎明 5 窪地の家その他 A 窪地の家 B 噂 C 牢獄の心 6 虹立つ谿 7 欧州…

来者の群像 大江満雄とハンセン病療養所の詩人たち 木村哲也

2017年8月、編集室水平線から刊行されたハンセン病詩人評伝。装画は池野清「鳩笛たち」。 目次 はじめに 第一章『いのちの芽』のあとさき 多磨全生園 山下道輔さん、国本衛さん 『いのちの芽』にいたるまで――「園内文芸運動の隆盛 理解者をつくろう らいはア…

小島に生きる 長島愛生園編

1952年7月、宝文館から刊行されたハンセン病文学アンソロジー。 ハンゼン氏病菌(癩菌)は、人類の発生と同時に、世界に存在したようである。人体の皮膚粘膜、末梢神経に好んで寄生して、人間を苦しめて来たものであり、人の面皮を破り、手足の自由を奪い、つ…

いのちの宴 塔和子詩集

1983年9月、編集工房ノアから刊行された塔和子(1929~2013)の第7詩集。装幀は栗津謙太郎。 私達は、もぎたての果実を前にしたとき、その果実が、つながっていたいのちの木をはなれて、そこに在るという現実は、果実が着果する前の闇、そして、熟した新鮮さ…

いのちの芽 日本ライ・ニューエイジ詩集 大江満雄編

1953年4月、三一書房から刊行されたハンセン病詩人アンソロジー。編者は大江満雄。 目次 厚木叡 伊藤秋雄 田所靖二 北川光一 石川淸澄 宇津木豐 右川斗思 盾木弘 國本昭夫 氷上惠介 奧二郎 白浜浩 船城稔美 生多純 梶澄夫 多岐葉一 比良田信吉 館裕子 深山裕…

いのちを紡ぐ 詩人・塔和子追悼集

2014年6月、塔和子の会から刊行された追悼集。代表は川崎正明、編集は石塚明子、涸沢純平、長瀬春代。 目次 はじめに 川崎正明 Ⅰ 塔さん ありがとう! 河本睦子 出会い 石井英子 永遠の乙女 相川栄蔵 塔和子さんを送る 川崎正明 詩の神様 彩音まさき 塔和子…

いちま人形 塔和子詩集

1980年8月、花神社から刊行された塔和子の第6詩集。装画は新井豊美。 生きているという、私の生身は常にいやおうなく満干を受け止めて在らされています。 そして私は、かわいたときの痛みや満たされているときの喜びの中で、さまざまなことを考えますが、自…

聖なるものは木 塔和子詩集

1978年8月、花神社から刊行された塔和子の第5詩集。装画は新井豊美。 闇と光と闇と、いま在るということは、産れない前の闇と、存在を頭にしている光の時間、そして、やがて死滅し帰るであろう、闇の間に置かれている、しばらくの光の中にいる、また在らされ…

鵲の家 桜井哲夫詩集

2002年1月、土曜美術社出版販売から刊行された桜井哲夫の第5詩集。装幀は林立人。写真は権徹(ゴン・チョル)、肖像は安藤真樹。 目次 Ⅰ 拭く 「私は侵略者」 屈折 追憶の川 お辰ばあさん ヤヨイの手紙 車椅子が走る Ⅱ 謝罪の旅 カササギの森 カササギの家 …

無窮花抄 桜井哲夫詩集

1994年5月、土曜美術出版販売から刊行された桜井哲夫の第3詩集。装幀は居島春生。 視覚障害者である私には文字がない。文字を持たない私の詩は、すべて代筆者によって文字となり詩となるのです。 詩作を始めて十年、第一詩集『津軽の子守唄』、第二詩集『ぎ…

津田治子歌集 津田治子

1960年1月、白玉書房から刊行された津田治子(1912~1963)の第1歌集。昭和4(1929)年、18歳でハンセン氏病に罹患。 明治四十五年春に佐賀縣松浦郡に生れた私は、父母の離郷とともに幼にして、福岡縣飯塚に於て成長いたしましたが、十八歲の春病にかかり、…

小島の春 小川正子

1947年11月、新教出版社から復刊された小川正子による長島愛生園に関する手記。元版は1939年長崎書店版。 目次 序 高野六郞先生序 下村海南先生序 光田健輔先生跋 土井晩翠先生夫人 土佐の秋 再び土佐へ 國境の雲 淋しき父母 阿波の講演旅行の歌 小島の春(…

水の相聞 光岡良二歌集

1980年5月、雁書館から刊行された光岡良二の第3歌集。装幀は小紋潤。 歌集は歌だけでよく、どんな文もつけ加えず、ただ作品だけを黙って差し出す、というのが、私の本つくりの年来の憧れであるけれど、そのような幸いは、名もない歌つくりの私には、まだ当分…

いのちの歌 東條耿一詩文集

2009年9月、新教出版社から刊行された東條耿一(1912~1942)の詩文集。装幀は桂川潤。 はるか昔のことになりますが、私は北條民雄に関する小文を書きましたが、そのなかで東條欺一の名を知りました。この人は北條の無二の親友で、多磨全生園を代表する詩人…

不明の花 塔和子詩集

1989年6月、海風社から刊行された塔和子の詩集。装幀は高橋啓二。 目次 陽春 不明の花 沼 音 彼方に 人の林で 食虫植物 かざしたものは 歯車 瓶 食事 不確かな目 優しい鬼 フイルム 手負いの動物 鳥 風景 向こうから来るもの 本 あちら どこからも 役割 銃口…

未知なる知者よ 塔和子詩集

1988年6月、海風社から刊行された塔和子の詩集。装幀は高橋啓二。 目次 流れの中で 金魚 祭典 ガラスの顔 鯛 そこにいるとき 花 行く 終わったものから 淡雪 魚 かすかな声を 花瓶 虫 罠 人の谷間で 汽笛 枷 胸の泉に ちょっぴり光って ひそひそと言葉を あ…

オリオンの哀しみ 氷上恵介

1985年1月、氷上恵介遺稿集出版委員会から刊行された氷上恵介の遺稿集。画像は1995年9月第3版。 文芸活動等を通じ、全国の療友の間でも、その名の知られた氷上恵介(藤田四郎)君は今年の一月五日急逝し、六十才十か月の生涯を閉じましたが、余りにも突然な、…

希望の火を 塔和子詩集

2002年4月、編集工房ノアから刊行された塔和子の詩集。 どんなつらい時も、向こうにかすかながらでも希望の火が見えていれば、人は堪えられるものだ。 今の私はうなぎであると詩いましたように、人の館にたてこもり自分のような身体不自由者でも、安心して外…

私の明日が 塔和子詩集

2000年6月、編集工房ノアから刊行された塔和子の詩集。カバー、扉絵は岡芙三子。 目次 私の明日が 君子蘭 映像 うろこ 重い袋を 行く 道の果てたとき 晩秋の街 季節の風に 生は いのち つぶやき 芯の方から 触覚 花 邸宅 あの日が 時の重さに 船 迷妄の闇 命…

エバの裔 塔和子詩集

1973年6月、渡辺隆の援助で燎原社から刊行された塔和子(1929~2013)の第3詩集。題字は村野四郎、装幀は渡辺隆。 目次 渚 貧婪な手 痛み 水 真夏の昼 生存 エバの裔 帰郷 舞台 回生 夜 いつも見知らぬ手に ひとつの包 肉体 挑発 壺 新しい世界 慰撫 飾り 選…

島の四季 志樹逸馬詩集

1984年3月、編集工房ノアから刊行された志樹逸馬(1917~1959)の遺稿詩集。編集は小澤貞雄と長尾文雄。附録栞は「ハンセン病理解のために」。 志樹逸馬さんの遺稿のことが話題になったのは一九七九年の好善社理事会のことであった。これまでに、原田憲雄・…

大地 塔和子詩集

2002年10月、編集工房ノアから刊行された塔和子の詩集。カバー、扉絵は岡芙三子。 すべての始めは大地からです。土と水と太陽からです。母なる土 のないところからは、なにも始まりません。 大地の上のひとつである私という生きものも、喜怒哀楽すべての 感…

記憶の川で 塔和子詩集

1998年3月、編集工房ノアから刊行された塔和子(1929~2013)の第15詩集。第29回高見順賞受賞作品。カバーは西脇洋子。 人は多くの記憶をもっていて、それは思い出として浮かび上がったり、忘却の中へ沈んでいったり致しますが、忘却の中へ沈んでゆくことさ…

いのちの火影――北条民雄覚え書 光岡良二

1970年7月、新潮社から刊行された光岡良二(1911~1995)による北条民雄(1914~1937)の評伝。装幀は麻田鷹司。 目次 序 河盛好蔵 はじめに 少年の日 入院して来た北条 山羊小屋の片隅で 文学仲間 『間木老人』 二年目の夏 『いのちの初夜』 『猫料理』 二…

愛の詩 塔和子詩集

1995年2月、編集工房ノアから刊行された塔和子(1929~2013)の第13詩集。表紙は西脇洋子。 この詩群は、ある日、ある時のすてきな方との出会いをきっかけにとして、遠い日の恋を想い起こしながら書きましたもので、先に出しました「愛の詩集」につぐもので…